待遇改善に「トラック経営の見える化」を活用これからの時代、運送会社において、ドライバーさんの待遇改善をしていくことは非常に重要であるということは、これまでも何度か述べた通りです。しかし、待遇改善と言っても、いきなり適当に給与を上げたりするわけにはいきません。むしろ、運送会社の場合は、人件費こそが原価の大半を占めるので、現状の収益性を把握して、慎重に判断をしていく必要があります。そこで、待遇改善の判断においても、原価計算が重要になってきます。もちろん、車両ごとに見ていくと、収益性のいいものもあればそうでないものもあると思うので、個別の案件の収益性だけではなく、全体の収益性も加味した上で給与アップを考える必要がありますが、やはり大原則としては、お給料をアップしながらも、それぞれの車両がきっちりと利益をあげられている状態を作っていくということが重要であると考えています。ある意味、「理想原価」というのは、例えばドライバーさんの昇給なども加味して、実原価よりも高めの人件費設定をしておくことで、「将来の昇給原資を先につくっておく」ための考え方であるとも言えます。また、実原価における稼働日数よりも、稼働日数を減らして「理想原価」を設定しておくということは、「将来的に休みを増やしていく準備」のための考え方であると言えます。これがすなわち、「現状、お給料のアップの原資はどれくらいあるか?」「昇給すると車両ごとの利益はどうなるか?」「昇給を実現しつつ、一定の利益を確保するためには運賃単価をどれぐらいあげればいいか?」といったことを考えていくステップとなるわけです。車両の買い替え判断に「トラック経営の見える化」を活用また、車両の買い替えにおいても同様のことが言えます。例えば、現状の車両費用が仮に減価償却が終了して0円となっていたとしても、「理想原価」を考えるにあたっては、実際に新車を購入して10年間運用すると考えると月15万円になる、というようなことを加味して車両費用を設定する必要があります。その上で、利益が残るような運賃を設定しないと、車両を買い替えることはできません。裏を返すと、その上でしっかりと利益が残るのであれば、その車両を買い替える決断もしやすくなるとも言えます。もちろん、これについても、車両ごとの収益性だけでなく、会社全体の収益性で判断すべきことであるので、その車両だけ儲かっているからといって、他の車両が足を引っ張っていて会社全体で見ると赤字であれば買い替えることはできないかもしれませんし、逆に、その車両は赤字でも他に稼ぎ頭の車両があって、全社の収益状況で考えると車両の買い替えをできるということもあると思います。ただし、常に考えた方がいいのは車両個別の採算性であり、そこを無視して、全体が儲かっているから問題ないという視点で経営していると、これだけあらゆる物価が高騰している時代においては、気づいたときには赤字車両だらけになってしまっているということもありえます。さらに、「トラック経営の見える化」においては、例えばドライバーさんに関しては、拘束時間や残業時間、周辺の求人の給与条件との比較といったデータも見られるようにしています。こうすることで、車両の収益性はどうか?昇給原資がどの程度あるか?という観点だけでなく、「ドライバーさんの現状の待遇は割に合っているのだろうか?」という視点でトータルで見ていくことも可能にしています。また、車両に関しても、燃費の推移や、メンテナンス費用の推移、そして車両の資産状況(リースや減価償却の残高状況)が分かるようにしています。こうしたデータを見ることで、「その車両がどの程度劣化してきているのか?資産としてはどういう状況にあるのか?」という観点で判断をすることもできるようにしています。