運賃・実費・作業料等の積み上げの料金設計適正原価の計算式の中で着目すべき内容としては、荷役作業や高速代等の各種費用が「料金原価」あるいは「実費」として、適正原価の計算式の中に組み込まれているという点です。【適正原価算定式のイメージ(2026年7月17日時点)】適正原価=運賃原価+委託手数料+料金原価+燃料サーチャージ+実費運賃原価=時間当たり固定費×総稼働時間+キロ当たり変動費×総走行距離※時間当たり固定費、キロ当たり変動費については、地域・車種・車格ごとに表などにより別途示すことを想定あくまで、「1kmあたり変動費」と「1時間あたり固定費」から算出されるのは、「運賃原価」であり、その「運賃原価」にその他の費用も加えることで「適正原価」となるということです。これは「運賃(トラックを走らせることで得られる対価)」と「それ以外」を分けましょうという、これまで口酸っぱく色々なところで言われてきていた方針と一致します。標準的運賃ももちろんそういう前提でつくられていました。適正原価の計算式がそうなるということで、より一層、この「運賃とそれ以外を分ける」という部分の運用が厳格化されるということになります。「全部込み込みでいくら」となっている運賃も、少なくともその内訳を明確にし、荷役作業料なども含めて、適正原価にあっているかどうかを見ていかなければなりません。「サービス的にやらされていた」状態とは決別できるかもしれません。でも、「あえてサービスとしてやることで競争優位性を発揮していた」会社からすると、もしかすると少しやりにくくなる環境になるかもしれません。燃料サーチャージも重要また、適正原価の計算式を見ると、当たり前のように「燃料サーチャージ」が含まれているという点もポイントです。「燃料サーチャージ」に関しては、実際に導入すると請求などの手間が少し増え、また導入にあたっての荷主への説明にもハードルがあるため、なかなか腰が重い運送会社も多いとは思いますが、事業の利益を考えていく中では、馬鹿にできない仕組みです。実際、燃費が3km/Lの大型トラックで1日300km走る地場仕事をするとした場合、燃料単価が20円/ Lアップすると、それだけで1日の原価は2000円も跳ね上がることになるのです。仮に運賃6万円で、利益率が10%だとすると、1運行6000円の利益の3分の1が吹き飛んでしまうということです。したがって、トラック協会や国土交通省も、「燃料価格上昇に対処するための燃料サーチャージ導入ハンドブック(全日本トラック協会)」や「燃料サーチャージガイドライン(国土交通省)」などを出すことで、推奨してきた背景があります。今回の適正原価の計算式にこの「燃料サーチャージ」が含まれることで、この「燃料サーチャージ」についても、業界の当たり前として、運用が本格的に進む可能性が高くなるということです。安全や事業の継続に必要な投資も原価に含むまた、適正原価の計算式の構成要素となる各項目を見ていくと、「1時間あたり固定費」の中には、「輸送の安全確保に必要な経費(ドラレコやデジタコなど)」や「事業の継続に必要な投資(人材確保や人材教育、労働環境改善など)」といった費用も「原価」として含むべきだという観点も示されていました。※「適正原価の設定に向けた論点提示」国土交通省基本的には標準的運賃の考え方を下敷きにして考えられている適正原価ですが、今回の検討にあたっては、その標準的運賃における考え方に加えて、さらに「輸送の安全確保に必要な経費」や「事業の継続に必要な投資」も必要な原価として含めていこうという方針です。「安全や教育も原価に含まれますよ」って、結構すごい方針だと思いませんか?こうした内容を見るにつけて思うのは、確かに運送会社側からすると、色々ルール変更があって、不安だったり、面倒に感じたりする部分もあるかもしれませんが、あくまで国には「運送会社、そして、そこで働く人を豊かにしていきたい」という考えがあるということです。本当にありがたい。その思いをちゃんと受け取って、僕たちは適応していかなければならないんだと思います。