有識者会議で改めて示された方向性2026年8月26日に、適正原価に関する第2回有識者検討会がありました。第1回に続いて、第2回でも重要な論点が再度示されたので、改めてこのタイミングでもしっかりと整理しておきたいと思い、追補の筆をとりました。第2回有識者検討会の中で、今後のトラック運送会社の経営にかかわる重要な方向性が、改めて「明言」されていました。結論から言うと、それは「適正原価は最低運賃ではない」ということです。国土交通省から出されている資料「適正原価の設定に向けた個別論点の検討①」の中に、このような記載があります。「トラック事業者は、一定期間における運賃・料金が適正原価を下回らないこととすればよく、個別の運送契約における運賃・料金について、適正原価を下回らないことを義務付けられているわけではない。これらを踏まえると、基本的には、適正原価の水準は直接的に個別の運送契約の運賃・料金水準を規定するものではない。」つまり、これはどういうことかというと、「1年間や半年間などの一定期間を通しての輸送距離や稼働時間から適正原価を算出するよ。そして、その同期間に受け取っている運賃がその適正原価を上回っていればいいよ。」(=一定期間における運賃・料金が適正原価を下回らないこととすればよく)ということです。そして、「極論、20,000円で受けている案件があっても、60,000円で受けている案件などがあれば、それらを通算して適正原価を上回った運賃をもらえているかどうかを見るから、個別の運送契約で20,000円の運賃のものが仮に原価割れしていたとしても、それは別に問題なしだよ。だから、適正原価は、別に最低運賃ではないよ。」(=個別の運送契約における運賃・料金について、適正原価を下回らないことを義務付けられているわけではない)ということです。「適正原価」ができるのでもう安泰だ、と思っていた運送会社経営者も、もしかするといるかもしれませんが、どうやら手放しにそういうわけではないようです。もちろん、「輸送の安全確保のために必要な経費」や「事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資」を適正原価の原価項目に含めたりもしていて、「運送会社、そしてそこで働く方々がより安全に、安定して、事業を続けていくために」本気で国が考えてくださっている制度なのだと思います。なので、間違いなく一歩、いや、二歩と、この運送業界が前進をする、とってもいい制度なのだと思いますが、手放しにそこにタダ乗りできるような制度ではなさそうです。運送会社側は、しっかりと「適正原価に備える」ことが重要になってきます。適正原価に備える「積み上げの料金見積」一応、現行の標準運賃のかわりになるような「モデル運賃」を示すという方向性も示されていますが、モデルはあくまでモデルなので、法的拘束力を持つものではありません。標準的運賃があくまで参考運賃なのと同様に、モデル運賃もあくまで参考運賃です。したがって、しっかりと根拠に基づいた運賃見積や運賃交渉ができるようになるというのは、これからの時代、非常に重要になってきます。委託手数料部分(協力会社に依頼をする際の手数料)を除いた、実運送会社にとっての適正原価の計算式を改めて整理すると、このような計算式になります。適正原価=運賃原価 (1時間あたり固定費×総稼働時間+1kmあたり変動費×総走行距離) +燃料サーチャージ +料金原価(荷役作業料など) +実費(高速代など)これからは、この考え方に基づいて、料金(運賃+α)の積算をできるようになっていかねばなりません。例えば、それを見積書のフォーマットで表すとこのようになります。もちろん、この中の「運賃」部分は、1kmあたり変動費や1日あたり固定費をもとにして、そこから積算をして、適正な利益を上乗せして算出されたものになります。その上で、実費(高速代など)や追加料金(荷役作業料など)、そして燃料サーチャージなどを踏まえて「料金」を算出することで、このような見積を作ることができるようになります。これが、「適正原価に備える」ために必要な、運送会社の1つのアップデートです。