はじめにまず、経営の指標と言えば、一番最初に頭に思い浮かぶのは決算書のトップに来る財務諸表である「損益計算書(PL)」と「貸借対照表(BS)」でしょう。確かに、この損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)は、トラック運送会社の経営状態をウォッチする上では、重要な参考指標になります。でも、それだけで十分に経営状態がクリアになるかというと、実際にはそうではないと思います。損益計算書(PL)だけではよく分からないここから先は、専門家の方が見ると甘い説明もあるかもしれませんが、ご容赦ください。分かりやすい例を挙げてみます。例えば、トラック20台、売上2億円、営業利益1000万円で横ばいの運送会社があったとします。この会社が今期、期初に2000万円のトラックを1台、現金で一括購入して古い車両と入れ替えをしました。果たして、このとき、決算はどうなるでしょうか?というケースです。色んな細かい想定すべき条件はありますが、事業用トラックの法定耐用年数を4年として定率法で処理すると、その年に1000万円の減価償却を行うこととなり、結果的に、この会社の売上は2億円、営業利益は0円の決算となります。一方で、もし仮に、同じトラックを5年リースで契約していたとすると、リースに含まれる金利などの細かい条件を無視すれば、この年に払うリース料は400万円で、決算は売上2億円、営業利益600万円となります。同じトラックを取得して、同じように1年間使用していたとしても、損益計算書(PL)の出来上がりは大きく変わります。もっとマニアックに行くと、償却方法の届出を提出して、その会社が独自に8年定額法で償却する設定にしていたとすると、これまた売上2億円、営業利益750万円となります。このように、トラックというかなり金額の大きい資産を運用する事業形態であるトラック運送会社の決算書は、正直言って、トラックの取得方法(リースか購入か)や減価償却のスタンスによって、大きく見た目が変わってしまいます。繰り返しますが、細かく専門的に見ると色々ツッコミどころはある例だと思うのですが、シンプルに考えるとこういうことが起こるのです。じゃあEBITDAというのがあってだな…、ということで、減価償却費を足し戻したりして考える会計指標もありますが、実はこれだけでは、リース契約の分を見極められない可能性があります。前述の例で言うと、購入(減価償却)の場合は、どのような償却スタンスであってもEBTDA1000万円となって揃いますが、リース契約の場合は勘定科目上「賃借料」や「リース料」と処理されていて、EBITDA600万円となってしまうこともあります。これも厳密に言うと、ファイナンスリースなのかオペレーティングリースなのかなどによっても変わってくる部分なのですが、一旦細かな言及は置いておきます。貸借対照表(BS)を見てもよく分からない貸借対照表(BS)も、パッと見ただけでは実態を掴むことができません。例えば、減価償却が終わって簿価1円になっている、初年度登録から6年が経過した大型トラックがあったとします。この場合、貸借対照表(BS)の試算の部の左下、固定資産のところには1円で計上されています。でも、実際にその大型トラックを中古市場で売りに出すと、数百万円の価格が付きます。簿価は1円でも、時価は数百万円になってしまうというわけです。色々と小難しいことを言いましたが、結局何が言いたいのかというと、決算書を見ただけでは、その運送会社の経営実態は正直よく分からないよ、ということです。もちろん、大まかに赤字であるとか黒字であるとか、債務超過であるとかそうでないとか、そういうことは分かるので、無視できないものであるのも事実ですが、実態を掴めるものでないこともまた事実だと思います。さて、ではどうすればいいのか?ここで登場するのが「管理会計」です。トラック運送会社の経営の実態をしっかりと掴んでいくためには、トラック1台ごとの収益状況などを細かく見ていくしかないのです。トラック運送会社の「管理会計」についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ、他のコラムも読んでみてください。