始まりました。社会インフラの横丁から。この番組は、社会の当たり前を支えてくれている人たちの声を、臨場感あふれる六興村の隅っこにあるこの横丁からお届けするラジオです。 本日も温かいお話や苦労したお話、心に染み渡るお話、そしてこれからの未来につながるお話をお届けしてまいります。第2回目も前回に引き続き、有限会社MIYABIの代表取締役、辻雅弘社長をゲストにお迎えし、波乱万丈な創業ストーリーの続きをお届けします。前回の放送で、まるで導かれるように運送業で起業した辻社長。今回は、創業から20年の歩みの中で経験した「最大の危機」に迫ります。それは、信じていた人からの裏切りと、突然の取引停止という絶望的な状況。会社存続の危機、従業員を守るために辻社長が下した「ある決断」とは何だったのか? そして、その後に訪れた奇跡の導きについて、熱く語っていただきました。%3Ciframe%20data-testid%3D%22embed-iframe%22%20style%3D%22border-radius%3A12px%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fopen.spotify.com%2Fembed%2Fepisode%2F5375dmCl7SypULr1qkRJQV%3Futm_source%3Dgenerator%22%20width%3D%22100%25%22%20height%3D%22352%22%20frameBorder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20loading%3D%22lazy%22%3E%3C%2Fiframe%3E最大の危機は「仕事の未払い」から始まった段林: 今回もMIYABIの辻社長にお越しいただいております。前回は、創業の思いについてお話をいただきました。縁に導かれるようにしてこの会社を立ち上げ、創業を始めるに至ったわけですが、それから20年経過され、その間には色々な危機もあったと思われます。これまでの「最大」の危機とは、どのような危機だったのでしょうか?辻社長: 最大の危機の前に、ちょっと「プチ」的な危機を言いますね。今思えば2回ほどありました。創業して、仕事が始まったばかりの頃です。当然、直接の荷主さんはまだいないわけですから、運送会社様から仕事をもらっていました。その時、そこの社長がお金にルーズなところがあって、働いた分のお金をもらえないことが起きてしまったんです。段林: そうなんですね。辻社長: その社長は会社にはいるんですが、逃げ回ってしまってお金がもらえない。ある時、その社長の自宅にまで行って「お金を払ってください」と言ったら、その社長が警察に駆け込んじゃって、脅されてると言ったんです。段林: ええ。辻社長: 警察が出てきて、「脅したのか」と言うから、「脅してないです」と。「請求書を見てください。仕事した分もらえないから、これを取りに来たんです」と説明しました。段林: なるほど。辻社長: 結局、それから半年近くもらえませんでしたが、何とかもらいました。始まったばかりの頃ですから、投資するだけしちゃっていて、お金が入ってこないので、お金が本当になくなってしまうんですよね。最初の頃は、銀行さんも相手にしてくれずお金貸してくれないので、無借金でやっていたんです。本当に「やばいな」というのがありました。これが、始まったばかりの時の辛い思い出です。信頼していた先輩からの裏切り…半分以上の仕事が一晩でゼロに辻社長: その後、順調に車の台数も増えてきて、荷主さんも増えてきて、仕事をしている時の話です。ある私の先輩が、こういった業界にずっと精通していたんです。しかし、その先輩は今までやられてきたことが縮小していって、見ていても「これから減少していくだろうな」と私も感じていたんです。その時に、すごくお世話になったところもあったので、その先輩に声をかけて「力を貸してくれないか」と。我が社に来てくれと。段林: おお。辻社長: 「俺でよければちょっと力になろうか」と言って、来てもらったんです。そして、一つのお客様のところに一緒に入り込んで、そこで我が社の社員であったり、仕事の内容を見てもらっていました。しかしやはり元々、先輩後輩で元々一緒に仕事をしていたわけではなかったですから、色々な思いがあったんでしょうね。私は当然、代表として言うべきことは言わなきゃならなかったし、仕事とプライベートの先輩後輩は別だと思っていたので、そこは、きついことも言ったと思います。段林: そうですよね。辻社長: それがやっぱり、嫌だったみたいで。誰でも嫌ですよね。そういった思いから、ご自分が連れてきた業者さんと、その荷主さん、大元のA社さんのところといろんな話をして、我が社(MIYABI)を排除していくような流れになったんですよ。段林: ええ…!辻社長: それはうすうす感じてはいたんです。感じてはいたんですが、私はそこは甘いというか、甘さというか、「こうですよ、ああですよ」って言わなかったんです。「あの人がもし私を裏切ってそうしたのならば、私がその人のことを信じて今まで来たんだから、信じた私が悪い。だから言うまい。もしそうなら、もう仕事がなくなっても仕方ない」という覚悟を持っていました、どこかで。そしたら、それが現実になっちゃったんです。段林: ああ…。辻社長: その当時、うちの会社の約半数、十数台そこに入ってお仕事をしてたんですよ。 その仕事が一気に今日の明日でなくなったんです。その大元のA社の専務さんに呼ばれて話をした時に、色々理由をくっつけて条件を言われました。理不尽な理由だと私は今でも思ってますよ。どう考えたって相手が悪いと私は今でも思ってます。段林: はい。辻社長: その理不尽な理由を突きつけられたので、「それは飲めない」と。「その話も聞けないし、条件も飲めない」と言って、「じゃあ仕事なくなるよ」と言われて、「仕方ないですね」って。その理不尽な要求は呑めないから、撤退する覚悟をしたんですね。そして帰ってくると、その専務さんの部下の部長さんから連絡があったんです。「うちの社長(大元A社の社長)が、協力会社を傭車と言わずに大切にしなさいと常々言っていた。その中で今回、話を伺って(辻)社長のところが仕事を辞めることになったことで、会社がおかしくなってしまう可能性があるから、(辻)社長のところに行って、(辻)社長のところの車を言い値で買い取ってこいと命令を受けた」と言われたんです。【★コラム】運送業界の「傭車」とは?—中小運送会社が抱える構造的な課題傭車(ようしゃ)とは、運送事業者が自社で対応できない業務を、他の運送事業者に委託することです。元請けと下請けの関係で成立することが多く、運送業界では多重下請け構造が一般的になっています。中小企業が元請けから仕事をもらう「傭車」は、売上確保の重要な手段ですが、低運賃になりやすいという構造的な課題を抱えています。また、元請けにとっては、傭車先のドライバー教育が行き届かないことによるサービス品質低下のリスクや、運行管理の難しさもデメリットとなります。段林: え? 買い取ってこいってことですか。辻社長: 話を聞いてて「何言ってんだ、この人たち?」って思ったんですよ。「協力会社を大切にしなさい」って言っておいて、自分で今回のことを容認・黙認してて。”仕事がもうなくなるから全部買い取ってこい。言い値でいいから買い取ってこい”というようなことを言うんです。その部長さんからは、前置きとして”私もおかしいと思うし、理不尽だと思う。ただ、私も上司の役員がそういう話をしているわけだから、覆すこともできないし、申し訳ない”という話があったんですが、結局断ったんですよ。奇跡を起こした「人との繋がり」段林: さあ、明日からどうしよう、と。仕事がないわけですよね。従業員にお金も払わなくてはならないわけですよ。私はもう全てを売ってでもこの人たちを解雇するわけにはいかないし、何とかしなくてはいけないと。段林: はい。辻社長: その時、本当に私は色々な人と出会う不思議な縁が多いのをここでも実感した出来事が合って…。なんと、そのことの顛末を誰にも言ってないのに、A社さんと話を終えて帰ってきた翌日に、ある人から電話がかかってきて、「社長、どこどこの仕事やめたの?」って言われたんですよ。段林: ええ!辻社長: 誰にも言ってないんですよ。腹が立ってるから、誰にも言えないですよね、この話を。従業員にももちろん話してないんです。だけど、次の日その人がそう聞いてきて。「なんで知ってるんですか? 誰から聞いたんですか?」と話をしたら、「私もこの業界に長くいますから、色々なところで話を聞いてますし、噂話は聞いていましたから」と。段林: そうなんですね。辻社長: 「社長、辞めてよかったですよ」と言うんです。辞めてよかったですよ、と。「うちは切られちゃったんですよ、仕事がなくなっちゃったんですよ」と私は思ってたんですが、「社長、辞めてよかったですよ。私も以前からずっと思っていたし、聞いてても思ったし、社長は辞める決断をするだろうなと思っていました。辞める決断をすると聞いたので、電話をしました」って言うんですよ。段林: すごいですね。辻社長: この人はどこにアンテナ張ってんのかと思いましたけど、その人が「社長、今からちょっと行っていいですか?」と。「どうぞ、来てください。暇ですから」と。来てくれたと思ったら、「一緒にどこどこに行きましょう。そこはこういう仕事で、こうなんです。もう話はしてありますから、そこに行きましょう。そこに行って話をしましょう。社長がよければそこの仕事やりましょう」って。別の会社の、関係ない人がそういう話をしてくれたんです。段林: へえ!辻社長: 本当に不思議です。ちなみに、その話をしてくれた人が、今のうちの本部長です。すぐに入社したのではなく、仕事上の関係をずっと保っていて、数年後にわが社に来ていただいたんです。段林: ほお…!それは何か、辻社長の誠実さというか、その最初から決めていた筋違いをしない、曲げなかったところを、ずっと見ていたというか、共感してくれる人がいたということですよね。辻社長: ただ、仕事が本当になくなりましたけど、ここでもし私が倒れてしまうのならば、「それまでなんだろうな」って、どこかで腹を括ってました。私がこれで終わってしまうのならば、これで終わりなんだろうな、その程度の能力だったんだろうな、と思っていました。ただ、「何くそ」と。「今に見てろよ」って思ってました。段林: はい。辻社長: で、面白い話が、それから約5年ぐらい経ってから、私が仕事をしていると、ある時、その(前述のA社の)部長さんから電話がかかってきたんです。5年ぶりぐらいに。「間違って電話してませんか」と聞いたら、「いや、間違ってない」と。「社長、ちょっと話を聞いてもらいたい話があるんだ」と。「どうしたんですか?」と聞いたら、「社長、仕事手伝ってくんねえか」と。段林: おお。辻社長: 「じゃあ、ちょっと待ってください」と。「その部長は、まだ以前の会社にいらっしゃるんですよね?」と聞いたら、「いる」と。「じゃあ、無理です」と答えました。段林: なんと。辻社長: 私はその部長に本当にお世話になったし、私の気持ちを分かっていてくれた方なので、こんな言い方をするのは失礼ですが、「あなたが勤めている会社の仕事は、私の会社の全財産失うことになろうと、やるつもりはありません」と。 「これは私の意地にかけて、生き方にかけて、お手伝いすることはできません、1ケースたりとも運ぶことはできないです」と。段林: なるほど。辻社長: 「どうしてもうまくいかないか。助けてくれないか」と言われたんですけど、「それだけは部長、できません」と言ったんですよ。「部長が違う会社に行かれて、”こういうところに転職したんだけど、こういう仕事があって、ちょっと忙しい中手伝ってくれないかな”って言われたのだったら、いくらでもお話は聞かせていただきます。ただ、A社の銘柄だったら、絶対にうちはできません。やれないです。」と。その電話を切った瞬間に、私は「勝ったな」と思いました。段林: すごい!辻社長: 痩せ我慢をして、本当に痩せ我慢でしたけど、痩せ我慢した甲斐があったなと、私はその時に思って、ちょっと報われた気がしました。辻社長:後日談ですが、この最大の危機の発端となった先輩は、うちから仕事をなくしたあと、次の日からA社に出勤してるんですよ。別の色の作業服を着て。「何、この人?」と。その先輩は、平然と「ざまあみろ」みたいな顔をしていました。私は、「文句言ってもしょうがない。ここで私が食ってかかっていったり、何かこう言い返したり、腹立てて感情に任せて言ったら私はダメだな。」と思って、「ここにお勤めになったんですか?頑張ってください。うちより大きい会社ですからね、いい会社ですからね」って言って、スッと帰ってきたんですよ。その先輩は、その会社で「責任者になれるよ」と言われて移ったらしいんですが、結局それも叶わなかったみたいで、やめてしまったみたいです。段林:なるほど。辻社長:それが最大の危機ですね。「俺もここまでかな、もうどうにもなんない。今日の明日でどうすんだ」って、その時は思いましたね。持っているお金を全部従業員に払って、「ごめんなさい」するしかないのかなと、一晩頭の中で考えてました。そう考えている最中に、仕事を一緒にしましょうというお電話があった、という感じです。段林: いやあ、ありがとうございます。今回もかなり強烈で、でも、最初に社長が決められた覚悟というか、やっぱりその曲がったことが嫌だという思いも、まさにこの話にも通底しているんだという風に思いました。心に染みるエピソード、ありがとうございました。辻社長: ありがとうございました。今回の対談では、辻社長の創業から20年の道のりの中で経験した信頼と裏切り、そして会社存続の危機という壮絶なエピソードを伺いました。理不尽な要求を拒否し、自らの信念を貫き通すという、誰もが簡単にはできない決断の裏には、「従業員を守る」という強い覚悟がありました。そしてその覚悟が、思いがけない形で奇跡の導きを呼び込み、今日まで繋がっています。次回は、辻社長がコロナ禍を経て考え抜いた経営哲学や、社員の未来を共に描く新たな挑戦についてさらに深くお話を伺っていきます。ぜひお聞きください!六興ラジオ【社会インフラの横町から】シリーズはこちら👇https://note.com/rokkojitsugyo_65/m/m6a5763e96fd5