始まりました。社会インフラの横丁から。この番組は、社会の当たり前を支えてくれている人たちの声を、人情味あふれる六興村の隅っこにあるこの横丁からお届けするラジオです。本日も温かいお話や苦労したお話、心に染み渡るお話、そしてこれからの未来につながるお話をお届けしてまいります。第8回目となる今回は、前回に引き続き、埼玉県戸田市で一般貨物運送事業を営む株式会社清光ラインの清水朋一社長をゲストにお迎えしました。リーマンショックでの危機を乗り越え、現在は「ドライバーファースト」を徹底する清水社長。給与水準の向上、徹底した法令順守、そして異業種からの未経験者育成にも力を入れる、そのユニークな経営哲学に迫ります。運送業界の常識を覆し、ドライバーが誇りを持って働ける会社をどのようにして築き上げてきたのか、その実態を対談形式でお届けします。%3Ciframe%20data-testid%3D%22embed-iframe%22%20style%3D%22border-radius%3A12px%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fopen.spotify.com%2Fembed%2Fepisode%2F79vLw8vwFaycfZpoaDO3Qa%3Futm_source%3Dgenerator%22%20width%3D%22100%25%22%20height%3D%22352%22%20frameBorder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20loading%3D%22lazy%22%3E%3C%2Fiframe%3E%0A過去の教訓から生まれた「徹底した法令順守」の経営段林: 本日も清光ラインの清水社長にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。清水社長: よろしくお願いします。段林: 前回は、創業の背景から、リーマンショックで一度ゼロ台になってしまったところから再起をしたという、僕も聞いたことのないお話を伺いました。まさかゼロ台からまた再起をされたというストーリーがあったとは、驚きました。その、一度ゼロ台になったタイミングで、仕事の取り方など、いろいろなやり方をかなり見直されたということですよね。清水社長: 180度やり方を変えたと言えるぐらい、真逆の経営になりました。段林: 創業当初は、仕事があれば何でも引き受けるというスタンスだったんですか。清水社長: そうです。まずは仕事を取ることが優先で、金額を電卓で叩いて、トントンか、へたしたら赤字かなと思っても、動かないマイナスよりはいいかな、と思って受けていました。しかし、それ以降は原価計算からすべて行い、経験値に基づいて「これくらいの距離でこれくらいだったら、いくら」というのを弾き出すようにしました。そして、絶対的にウィンウィンの関係ではない仕事はやりません。段林: すごいですね。それを徹底されているんですね。正直、管理職からすると「もうちょっと運賃安くしてくれたら簡単に仕事を取れるのに」という声はあると思うのですが、そこは譲らないんですね。清水社長: やらないです。関東圏では異例?増トン車で月収40〜60万円を実現段林: そういうことの積み重ねで、社員の給与面も、御社は増トンのユニックドライバーでどれくらいになるんですか?清水社長: 平均すると、40万円から60万円稼いでいる人間もいます。段林: 4トンのユニックでも、それぐらいですか。清水社長: 4トンは1台しかないので定期便に入っていますが、それでも40万円ぐらいは稼いでいます。段林:おそらく僕の知っている関東圏の増トン車の水準だと、35万円でも良い方で、30万円前半から、40万円いけばだいぶすごいけれども、求人では見たことがないというレベルだと思います。清水社長: そうですね。その代わり、自分が課した金額や仕事量を管理職がこなしてくれているので、それをドライバーに支払っても会社としては赤字が出ないという水準に持っていけています。段林: 「働きやすい環境」という点で言うと、一つは休み、もう一つは給与の部分、そして会社の雰囲気や教えてもらえる環境があると思います。創業数年のタイミングから給与や福利厚生といった必要なものをちゃんと揃えてきたというところは、かなり意識されてきたことなんですね。清水社長: そうですね。基本的に運送業は、「誰でもできる」と見られがちで、自分も運送業を立ち上げて「運送業なんか誰でもできるだろう」と言われてきたのですが、それをどうにかしたい、という思いがありました。労働環境の「質」を維持するために一時的に台数を削減清水社長: 「ドライバーファースト」でいけば、自ずと働いてくれる人が多くなって分母も多くなりますし、その分、固定費もかかるようにはなりますが、そこを上手い具合にこなしてくれ、それによって給料も上がっていきます。例えば去年の2024年問題然り、働き方改革でいろいろやらなければいけないことを、2024年以前から取り組んできました。清水社長: 長時間輸送をまずほぼやめて、一般貨物、待ち時間、運賃が安いところをすべてやめていきました。その結果、それを良しとしない、大型のユニックに乗りたい、長距離を走りたいという社員たちは、やはり多くが去っていきました。段林: ある意味、働き方を維持するというか、より良くしていくために、多少台数が減ってしまうことは覚悟して改革をされたと。清水社長: そうですね。運送をやっていて、法令順守ができていないと言われるのが嫌なので、できる限りの法令順守をしながらやっていくというのがうちのやり方なんです。段林: 実際にそれで100台ぐらいから、70〜80台ぐらいまで減らされたんですよね。清水社長: 70台ぐらいまで下がって、また昨年も10台増車しています。純粋な増車と減車もありますが、逆にその時に余っていた、あまり動かない小さい車を減らして、その代わり3トンのユニックと増トンのユニックを増車しました。昨年は3トンのユニックを10台、増トンを4台入れ、今年も既に3トンのユニックを6台と、増トン4台の、計10台を年内納車で発注しています。段林: なるほど。では、一度ぐっとダイエットした時期があって、そこからまたぐぐぐっと質的に強くなって、もう一回いけるぞ、という状況なんですね。清水社長: そうですね。ここまで、平ボディのユニックに特化して、しかもフリーをこれだけ抱えている会社になってきたので、そこを伸ばすというところに重点を置いてやっています。「リース料を20日で割る」経営で適正運賃を確保段林: 最初に伺って、すごいなと思ったのは、御社に停まっているトラックは全部ピカピカなんですが、先ほど増トン車でも給料をしっかり払われているという中で、さらに御社は車も4年ぐらいで入れ替えられる。清水社長: 新車に買い替えています。ただコロナで発注してもなかなか来ないことがあるので、今は多少のズレは出ていますが、それでも早め早めに注文は入れています。段林: すごく綺麗な車で、ドライバーさんも気持ちよく乗れますよね。清水社長: 正直、10台買って、うちの架装をすると、一般の会社さんが作っているような車の1台の値段の1〜2倍くらいは高くなります。しかし、自分はドライバー上がりなので、やはり綺麗なものに乗ってもらいたいという気持ちがあります。最初から汚いものに乗ると、汚いなりの人間の悪い心理で、「誰かがゴミ捨てたところにいいだろう」と思ってそこにゴミがどんどん溜まっていくのと同じです。【★コラム】新車価格が倍になる「架装(かそう)」の世界トラックは一般的な乗用車とは異なり、エンジンや運転席がある土台部分(シャーシ)と、荷物を載せる荷台部分(ボディ)が別々に製造・販売されることが一般的です。この購入したシャーシに対し、用途に合わせた荷台やクレーンなどの装備を取り付ける工程を「架装」と呼びます。メーカーがあらかじめ標準的な荷台を載せて販売している「完成車」であれば安価に購入できますが、清水社長が語るように車体価格が倍になるケースでは、そのほとんどが「特注(オーダーメイド)架装」を行っています。これは単なる見た目の装飾代だけではありません。雨風にさらされても錆びにくいステンレス部材への変更や、重機などの重量物を載せても床が抜けないよう骨組みの本数を増やす補強工事など、過酷な使用環境に耐えうる「機能と耐久性」への投資が大半を占めます。つまり、一般的な相場よりも高額なコストをかけて架装を行うということは、それだけトラックを「使い捨て」にせず、長く安全に使い続けるための仕事道具として大切に扱っていることの裏返しとも言えるのです。段林: なるほど。清水社長: なので、うちのドライバーは帰ってくるとみんな、ちゃちゃっと掃除したり、がっつり掃除したり、洗車したりしていますね。段林: それだけそういった設備投資もして、ドライバーさんにもしっかり還元をして、という循環をやっていこうと思うと、普通の運送会社としてざっくり経営します、という感じだと、なかなかそうはいかないですよね。清水社長: そうです。なのでうちでは、仕事を取る時に全車リースありきの金額で交渉します。段林: つまり、この車の1日の固定費は、リースを1日で割るとこれくらいかかるから、というのを込み込みで運賃交渉すると。清水社長: そうです。去年までは25日で割っていました。今は、リース代を20日で割って、土日休みでもいいようにその分も乗せています。段林: 5年リースで組んだとしたら、その月払いの金額を20で割って載せていると。結構な運賃になりますね。清水社長: おかげさまで、「清光さんならいいよ」と言ってくれるお客さんが多くいるので、そこら辺はなんとかできていますし、逆にフリー便もうちは保有率が高いので、1便目が終わってすぐ帰ってきても、2便目の午後便で少しだけ降ろしてくる、というところで付加価値をつけています。その分が利益にもなるので、そういうところで収益は上げています。段林: まさに、付加価値として認めていただけるだけの仕事のやり方、ひいては御社のドライバーさんの質も含めて、荷主さんに評価していただいているんですね。異業種からの転職組が活躍する育成システム段林: 運賃を気にされる会社さんは多いと思います。僕も去年数百社の運送会社さんとお会いしましたが、清光さんが一番強気の交渉ができているのではないかと思います。清水社長: 20年やってきて、他社さんとの接点がほとんどないんです。協会には入っていますが、他社はライバルでもあります。ライバルと仲良くというのは、自分はなかなかできなくて。段林:そういう意味で言うと、同業他社さんとの接点がほとんどないからこそ、業界の常識に囚われないやり方、常識が足かせにならない経営ができているというのもあるんですね。清水社長: よそのやり方が聞こえてこないのは、よかったのかなと思うところもあります。でも今の時代、もうちょっと接点を持っておいた方が、協力会社さんが見つかるのかな、という後悔もしています。今、配車係が一生懸命取り組んでくれていて、協力してくれる会社さんも増えてきました。段林: 御社の管理職の方の中には、まさかの元美容師という方もいらっしゃると。清水社長: うちには特にそうなんですが、未経験、他業種からの転職組というのも、しっかり資格取得から教えて、同乗研修まで、すべて育て上げるシステムがあります。経営者からするとリスキーな部分はありますが、「運送ってこういうもんだ」とわかってくれれば、長く続けてくれるんです。 ベテランさんが入るのもありがたいんですけど、そこは、異業種の方も気兼ねなく来てもらえたらいいなというところがあります。段林: 結構若いドライバーさんも多いんですか。清水社長: 多いですね。段林: 10代、20代の方もいると聞きました。清水社長: 20代は去年までもっといたんですが、同じグループで一人が辞めると引っ張られていっちゃって。若いうちに他のことをやりたい、他の会社に行きたいというのを止めるつもりはないです。段林: ここがいかに天国だったかというのを、よそを見てきてから気付くという方もいらっしゃるかもしれないですね。清水社長: 今まで20年やってきて、辞めた人間で出戻りも何名かいます。段林: それもちゃんとウェルカムで。清水社長: よそを見てきて、やっぱりうちがいいと思ってもらえるのは、会社の雰囲気づくりもそうですし、給料面も含めて考えています。やっぱり今の時代、物価高もあり、以前より働きにくくなってきている部分もあるので、その分については、昨年の4月にコース手当として1日1,000円、さらに先月の3月にも、同じくコース手当として1日1,000円、合計で1日2,000円を支給しました。きっちりやってない社員は外しますが、基本的にはそれをまた支給すると、土曜日がない分補填できるかな、という考えです。上を見たらきりがないですが、うちにいればある程度の生活はできるんだな、というところまでは持っていきたいんです。段林: すごく安心できますね。清水社長:労災や病気等になった時に補填する保険も加入しました。そのあたりの福利厚生も手厚くしていくつもりです。20周年を迎え、目指すはコロナ前の「100台体制」段林: 今後、この「ドライバーファースト」は、より磨きをかけていかれると思いますが、今後の展望や、さらに先についてお聞かせください。清水社長: 今後はやっぱり、一度起業したからにはまずコロナ前の100台ぐらいまでには戻したいなというのが一番です。段林: それはもう射程圏内にあるという状況ですね。清水社長: はい。先に車は頼んであるので、人さえ入ってくれればという状況です。仕事はまだいくらでもあると言ったら語弊がありますが、仕事はあるので、その辺は安心してもらえればと思います。段林: そこでしっかり活躍していただけるドライバーさんを、これから仲間集めしつつ進めていくところですね。清水社長: そうですね。うちのいいところは、朝「今日は降ろしだけです」と言ったら、10時ぐらいに帰ってきたとしても、その場で帰宅できるんです。そうやって自由な時間ができるというところと、例えば入学式や卒業式シーズンだったので、「入学式に出るから休みます」などの申し出でも、できる範囲で対応します。基本的に管理職がみんなドライバー上がりなので代わりに走ったりもできますし、いろいろなところで融通が利くのでできることです。段林: 休みやすさも、これからさらに追求されていくのですね。清水社長: そうですね。時代なのかな、というところですね。段林: 2回にわたって、創業から清光ラインさんの経営の仕組みまでお話を伺い、御社の取り組みは、運送会社の多くが抱える「運賃交渉」や「ドライバー採用」といった課題の解決策として、一つの希望になるかと思います。今後、御社が20周年を迎えられ、100台を目指される中で、より良い未来があることを願っております。本日はありがとうございました。清水社長: ありがとうございました。段林: 今回のゲストは、清光ラインの清水社長でした。▼前回のエピソードはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/sh7dDRFK▼六興ラジオ【社会インフラの横丁から】シリーズはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/category/rokko-radio