始まりました。社会インフラの横丁から。この番組は、社会の当たり前を支えてくれている人たちの声を、人情味あふれる六興村の隅っこにあるこの横丁からお届けするラジオです。本日も温かいお話や苦労したお話、心に染み渡るお話、そしてこれからの未来につながるお話をお届けしてまいります。今回は、物流業界のDXを推進するアセンド株式会社・日下瑞貴(くさか みずき)社長との対談【後編 その2】をお届けします。本編では、「運ぶ」を超えて地域や社会を支える運送会社の姿や、有事のライフラインを見据えた民間ネットワーク構想の裏側が語られます。掃除や挨拶といった日常の所作ににじむ企業文化、現場に向き合うスタートアップの姿勢、そして業界全体を良くしていこうとする率直な本音まで。物流の現場と未来を、等身大の言葉で深掘りする回です。▼その1はコチラからhttps://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/vqOBIaKT%3Ciframe%20data-testid%3D%22embed-iframe%22%20style%3D%22border-radius%3A12px%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fopen.spotify.com%2Fembed%2Fepisode%2F3Lwh4CsndD7tzjMOpsm1UT%3Futm_source%3Dgenerator%22%20width%3D%22100%25%22%20height%3D%22352%22%20frameBorder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20loading%3D%22lazy%22%3E%3C%2Fiframe%3E有事のライフラインをつくる、ポッドキャストの裏テーマ段林: 地域全体という話で、この番組を始めたもう一つの理由があります。私が素敵だなと思う会社の一つに、栃木県の壬生にある有限会社MIYABIという会社があり、そこの辻社長という方がいらっしゃいます。日下社長: ポッドキャストに出ていましたね。段林: はい、第一回に出ていただきました。この番組を始めたきっかけには、辻社長との対話があります。辻社長は、「段林さんにお願いしたいことがある」と言われました。「栃木という土地は災害も少なく、首都圏にも近い。物もあり、北へも南へも行ける良い立地にある。この栃木の土地を生かして、日本で何かあった時に物を運べる民間のネットワークを作りたい」とおっしゃっていました。一般的な行政に頼るとどうしても遅くなる部分があるので、大災害などの有事に「これが足りない」という場所に、いち早く何かを届けられるネットワークを作りたい。それをSNSなどで発信したら集まるだろうかと、本当にピュアな思いを持たれていました。私はその思いがとても素敵だと感じ、「私ができることは、素敵な運送会社さんを集めてくることです。ポッドキャストなどで『一番大切にしたい会社』のような素敵な会社を取材していくことで、ネットワークができるはずです。いつか有事の際には、そういった会社同士で連携できるのではないでしょうか」という話をしました。これがスタートの裏話なんです。日下社長: なるほど。段林: その辻社長ですが、壬生でも人口減少が進む中で、学校の草が伸び放題になってしまっているのを見かねた社員さんが、市役所に掛け合って「僕たちがボランティアでやります」と話を取り付けたそうです。それから半期に一回ぐらい、実際に草取りをしているというエピソードがあります。そのような辻社長だからこそ、そういった社員の方が育つのだと思います。柳川合同さんの取り組みもそうですが、「運ぶ」という枠を超えて、地域の中でインフラを支えていくことに真摯に取り組まれていて、めちゃくちゃ素敵だなと思い、大ファンになりました。会社に行っても、皆さんの机がちゃんとこちらを向いているんですよね。トラックを磨くこと、トイレを掃除すること日下社長: 会社の雰囲気は一挙手一投足に出ますよね。確かに、いい会社さんは挨拶をしてくださいますよね。段林: そうですね。本当に、ドライバーさんもすれ違うだけで挨拶してくださったりします。車もきれいに停められていて、ピカピカになっていたりしますよね。本当にいろいろなところに現れると思います。松下幸之助さんや稲盛和夫さんといった偉大な経営者たちが掃除の大切さや心の大切さを説いていますが、あながち嘘ではないというか、すごくそこは重要なんだなと感じます。日下社長: 当社も毎週、月曜日の18時半から全員で掃除をしています。段林: あ、まさに今ですか(※収録時、ちょうど月曜夕18時半ごろでした)。日下社長: そうです。掃除を外注するのではなく、自分たちで会社の備品などを大切にするということです。また、お客様がいらっしゃった際は基本的に立ってご挨拶をするなど、そういった「基本のキ」のような部分は、IT企業やベンチャー企業であっても関係ないと思っています。お客様からすごく勉強させていただいたなと思いますね。段林: 本当にそう思いますね。話は転じますが、私たちも運送会社のお客様から勉強させていただきながらやっています。とはいえ、運送業界・物流業界での経験があって入社してくる人は少ないと思います。「ウィング車って何ですか?」という前提から入ってくる人が多いと思うのですが、実際アセンドさんではどうですか?未経験の方が多いのでしょうか。日下社長: 多いですね。業界経験は必ずしも見ていません。それよりも、社会の大きな課題を解決していきたいという思いを持っているかを見ています。スタートアップやベンチャーはどうしても急成長を求めていきますし、時間軸を短く捉える方もいらっしゃいます。しかし当社の場合は、長い時間軸で上場後もしっかりと当社に残ってご活躍いただけそうなご志向性を持った方かどうかを基準に採用しています。段林: そうやって入ってくる中で、業界への解像度を上げるのは難しいことだと思いますが、具体的にどのようなことをされているのですか。日下社長: 難しいですよね。どこまでいっても完璧にはなりません。僕らだって未だに営業先へ行ったらわからないことがたくさんあります。ですので、まずは知ったかぶりをせずにちゃんと聞くということを、常にやるものだと思っています。それを私や事業責任者、部長といった人間が続けていくことです。運送業といっても、運んでいるものも違えば100通りのやり方があるわけですから。段林: そうですよね。建材の配送と食品のルート配送では全く違いますし、実は全く別の会社ですよね。私はそれをよくシステムで対応しているなとずっと思っていました。日下社長: ですから、一つひとつお伺いしながらお客様用の画面を作り上げていく作業を、当社のCS(カスタマーサクセス)などがやっていきます。その意味でも、会話ができるぐらいの知識は要りますが、答えはお客様の中にあることが多いので、そこを正しく聞けるかどうかが一番大事なスキルな気がします。段林: なるほど。素直さが大事ということですね。日下社長: 素直さは大事ですね。何事においてもそうですが、近道はない気がします。だから「議論するんだったら客先へ行ってこい」と毎回言っていますね。段林: 「行って聞いてこい」と。日下社長: 頭のいい人は自分の頭で考えがちなんですよね。そんなに賢くないのだから、聞けばいいじゃないかということで、そこは大切にしていることの一つかもしれません。入社1ヶ月、「コードを書かない」エンジニア段林: ラジオなので伝わらない部分があるかもしれませんが、実は今日、日下社長の隣に一人のエンジニアの方が座っています。先ほど名刺交換させていただきましたが、まだ入社1か月だそうですね。日下社長: はい。段林: お話を伺ってびっくりしたのですが、1か月間は社長の鞄持ちとして、ずっと隣にいるそうですね。確かにそれが一番いいオンボーディングというか、どういう目線で業界の方々と関わって考えているのかをすごく理解できると思います。日下社長: まさにそうです。今は樋口という者が同席していますが、樋口にも他の方にも、基本的にはエンジニアをしてくれとは思っていないんです。当社の企業価値の向上に対して貢献をしてほしいし、当社の企業価値の向上とは、顧客の課題解決に貢献をするということです。顧客の課題解決をするための姿勢とスタンスを持ってください、ということがこの1か月のゴールです。段林: どうですか、樋口さん。 振られると思っていなかったかもしれませんね(笑)。樋口: そうですね。まずはエンジニアとして入社というよりは、プロダクトエンジニアとして業界の課題を解いていくという前提で入らせていただいています。社長や他の営業の方に同席させていただくことで、どれぐらい関係者がいるのか、そこの温度感はどうなのか、社内で言われていることと直接行った時の温度感がどう変わってくるのかといったことを、生で感じられるのはすごくありがたいです。プロダクトエンジニアとして、課題解決のヒントになるかなと思っています。日下社長: なんだか用意してきたかのような回答のようでしたね(笑)。段林: ちょっと通り一辺倒な(笑)。日下社長: 完璧じゃないか(笑)。段林: なるほど。ちなみに、入社の動機はどのような出会いだったのですか?樋口: 元々、前職から運送業のサービスには関わらせてもらっていました。やはり課題の大きさや難しさという点で言うと、他の業界を多く知っているわけではありませんが、システムという観点から見ても、課題の大きさから見ても、運送業・物流業界が一番難易度が高いのではないかと思いました。そこで挑戦したいなと思ったのが一番の理由ですね。段林: そこに一番大上段から振りかぶってやっているのがアセンドさんだということで。樋口: そうですね。段林: なるほど。いい選択ですね。日下社長: 概念が違えば六興実業にいたかもしれませんね、今頃。段林: 私たちが出会っていたかもしれないですね。「ジーパン禁止」に込めた、業界へのリスペクト段林: 以前、何かの記事で読んだことがあるのですが、アセンドさんのホームページに「運行管理者の資格保持者何人」といった記載がありましたよね。日下社長: そうですね。うちはCS(カスタマーサクセス)のメンバーは全員必ず取っています。段林: すごいですね!うちはまだそこまでできていません。先日、このポッドキャストに出た弊社の営業の神代という者が、自主的に運行管理の資格を取って「ラグビーで全国制覇した時より嬉しい」と言っていました。こないだ合格したんです。日下社長: 素晴らしいですね。やはり、東京のスタートアップのIT企業が訪ねてくるということは、人によっては必ずしも心地よい体験ではないかもしれないと思っています。当社では作業着や、安全靴(モビ)の着用を義務化していますが、お客様と一番接する人間は、ちゃんと資格を持っているかどうか、そういったことぐらい努力すればできることなので、重視しています。基本的にお客様先へ行く時はジーパンを絶対にやめるなど、当たり前のことを当たり前にやるということは意識していますね。運行管理もそうですし、ジャケットを着る、スラックスを履くといったことは、ベンチャーの自由度とは若干違うかもしれませんが、お客様目線に立って意識してやっている当社の文化です。【★コラム】安全靴とは安全靴とは、工事現場や工場、建設業・鉱業など、足に危険が及ぶ可能性のある作業現場で使用される、つま先を保護するための先芯(さきしん)を備えた靴のことです。一般的に「安全靴」と呼ばれることが多いですが、正確には JIS規格(JIS T 8101)に合格し、JISマークが表示されている靴のみが安全靴とされています。また、人体に帯電した静電気を靴底から逃がす機能を持ち、つま先の保護性能も備えたものは「静電安全靴」と呼ばれ、引火性ガスや有機溶剤を扱う現場などで使用されます。一方、つま先保護を持たない「静電作業靴」は、主に電子部品の静電気破壊防止を目的として使用されます。段林: 「アセンドジャケット」は、営業の方もお客様のところへ行く時には絶対着られるのですか。日下社長: はい。私も着ています。国交省へ行く時なども着ていますからね。段林: 私たちも作りますかね(笑)。毎回その話になるのですが、「まあいいか」となってしまっていて。日下社長: だらしなくない格好であればいいんじゃないですかね。お客様が現場でスーツを着ていらっしゃらないので、ただでさえ面倒臭いことをお願いするので、せめて同じ目線でという意図ですが、それをやると逆に「寄せてきているんだろう」と突っ込まれる場合もあります(笑)。段林: 逆にですね。日下社長: 「それはやっていますよ」みたいな(笑)。段林: 「逆にやらせてもらっていますからね」と。日下社長: そうそう。同じ釜の飯を食い、業界の未来を語る段林: 「アセンド食堂」に私もこの後お邪魔する予定ですが、あれは毎週やっているのですか?日下社長: 毎日です。段林: 毎日!で、月曜日が一番出社される方が多いと。日下社長: はい。毎日食堂でご飯を提供しますが、必ず出席してほしいのは月曜日です。この後全社の会議もあるので、ご飯を食べて、全体の会議をして、また一週間頑張っていきましょうという、会社のリズム作りという観点でやっています。段林: では7時からご飯を食べた後に、8時から全社会議があるのですね。日下社長: そうです。ぜひこの後出てください。段林: え、そんなところに。でも結構お客様も呼ばれたりしますよね。日下社長: お客様もいらっしゃいますね。段林: 誰かから「出たことあるよ」と聞いたことがあります。日下社長: たまに当社の会議を見たいと言っていただく会社様がいらっしゃるので、他のスタートアップや、競合するような会社さんが来たりすることもありますね。段林: なるほど。日下社長: そこで会社のキャッシュ状況とか全部ベラベラ喋ったりして(笑)。段林: すごいですね、それはちょっと(笑)。正直、業界が近い中でやっていると難しい部分もあるじゃないですか。最初にご紹介いただいた時、どう思われるのかなと心配していました。「私たちはまだまだペーペーなんで」と思いながらお話ししましたが、想像以上にいろんなことを懐広く教えていただいて、素敵だな、かっこいいなと思いました。日下社長: いえいえ、とんでもないです。よく言っていただくのですが、物流業界に当社のような若い会社が関わってくれることがありがたいとおっしゃっていただく会社様は、一社二社ではありません。いろんな会社が入ってくることによって、当社だけでは提供できないサービスもたくさんある中で、業界全体が良くなっていくことは真理だと思っています。うちのアイディアを盗んでやろうなどというのは嫌ですけど、業界を良くしていきたいという志があったら、大体のことはシェアしても構いません。それでパクられる会社が悪いと思っているので。段林さんは本当にまっすぐやられているので、何でもお話しさせていただいたという感じです。段林: ありがとうございます。一度、うちの社員も含めてちゃんと交流勉強会をやりたいですね。日下社長: ぜひぜひ。結構来ますよ。自動運転の会社さんも再来週来たりします。段林: へえ。日下社長: みんなでやると、お互いに知らないことが多いじゃないですか。段林: そうですよね。本当に奥深いですし、全く知らないことばっかりだったということもありますよね。日下社長: ここが大変だということは各社共通だったりします。メンバー同士でも交流してもらって、知見を共有していきましょうという、いい流れができたなと思っています。段林: 結局は、「日本を良くする」「業界のために」という話ですよね。もちろんその過程として外部からお金を預かっている部分もあるので、そこの使命を果たさないといけないというのはありますが、足を引っ張り合っても何のメリットもありません。日下社長: 小さい狭い世界ですからね。段林: 本当にそう思います。今日はそういうお話を腹を割ってできてよかったです。日下社長: 私も貴重な機会でした。いろんなポッドキャストに呼んでいただくことはありますが、近い業界の方に呼んでいただくことはなかなかない機会でした。業界の話ができると面白いですね。段林: 踏み込んだ話ができますよね。日下社長: 一般論やスタートアップの話ではなく、業界の話ができて良かったです。段林: この後アセンド食堂にお邪魔して、一緒にお食事させていただきますので、延長戦でお話しもさせていただければと思います。登る山は違っても志は同じだと思うので、連携して業界を良くしていくというところでやっていければと思います。想定時間を大幅にオーバーして長い時間でしたが、台本もない中で流石のトーク力でした。日下社長: いやいや、ただ喋るだけなので。段林: 楽しい時間をありがとうございました。日下社長: ありがとうございました。ぜひまたよろしくお願いします。▼前回のエピソードはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/vqOBIaKT▼六興ラジオ【社会インフラの横丁から】シリーズはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/category/rokko-radio