始まりました。社会インフラの横丁から。この番組は、社会の当たり前を支えてくれている人たちの声を、人情味あふれる六興村の隅っこにあるこの横丁からお届けするラジオです。本日も温かいお話や苦労したお話、心に染み渡るお話、そしてこれからの未来につながるお話をお届けしてまいります。第14回目のゲストは、前回に引き続きピーアール株式会社(埼玉県春日部市)の野口知司社長です。全3回にわたる対談の最終回となる今回は、能登半島地震での支援活動の裏側や、春日部市での児童養護施設支援のエピソード、そして社名に込められた「Peace & Rich」という理念について、じっくりと語っていただきました。物流会社だからこそできる社会貢献と、それが社員にもたらす変化とは。未来を見据える経営者の想いに迫ります。%3Ciframe%20data-testid%3D%22embed-iframe%22%20style%3D%22border-radius%3A12px%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fopen.spotify.com%2Fembed%2Fepisode%2F6vTsa0AfTuKh1ab7B35s1f%3Futm_source%3Dgenerator%22%20width%3D%22100%25%22%20height%3D%22352%22%20frameBorder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20loading%3D%22lazy%22%3E%3C%2Fiframe%3E%0A「輸送手段がない」という壁を越えて段林: 今回もピーアール株式会社の野口社長にお越しいただいております。よろしくお願いします。これまで3回にわたって収録させていただきましたが、今回が野口社長の最終回となります。野口社長: よろしくお願いします。段林: これまでは、会社の過去のお話や、どのような取り組みをされてきたのか、直近の運賃交渉のお話などを詳しく伺いました。最終回は、未来のお話を中心に伺いたいと思います。そして、もう一つ、私が冒頭で触れた、野口社長の会社の壁に貼られていた、能登半島地震の時にトラックで支援されたという話です。それがこの番組のご出演にも繋がったので、まずは能登での支援の経緯について詳しく教えていただけますか。野口社長: 能登の地震が1月にありましたよね。その3日後の1月4日に、ある団体のメンバーでもあり、我が社の顧問をやっていただいている方から電話がかかってきたんです。「社長、なんかできない?」と。「何かって何ですか?」と聞いたら、「今、能登が大変なことになっているじゃない。社長の会社は運送屋なんだから、行けるかどうかわからないけど、どうなんですか?」と。私は「私にも何かできることがありますか?」と答えました。その方が背中を押してくれたおかげで、「じゃあ、やりましょう」となりました。段林: なるほど。野口社長: その方の提案を受けて、次の日、1月5日に団体のグループラインで、「実は能登がこういう状況です。我が社でトラックを出します。物資は何が必要かまだわかりませんが、輪島市役所に連絡します。その内容を共有するので、ご協力をお願いします」と発信しました。私が輪島市役所に連絡したところ、面白いことに「大変ありがたいのですが、実は都内の会社さんが蓄電機を何百個か送りたいと。ただ、運送手段がないんです」という返答でした。段林: おお。野口社長: それがアンカー社さんだったんです。アンカー社さんが蓄電機を送りたいが、輸送手段がないと。私は「アンカー社の担当者の方とやり取りさせてください。我が社が持っていきます」と伝えました。そして、アンカー社の部長さんとやり取りをして、「200個送りたい」と。東京の本社の倉庫にあるとのことで、まずその蓄電機を弊社の倉庫に送ってもらい、そこでトラックに積み込み、我々の団体で集めた水やカップラーメンなどの物資も一緒に3トントラック2台分に積み込んで、現地へ走りました。被災地で感じた「無力さ」と「確かな貢献」野口社長: 現地では、アンカー社も関わっているため、ちゃんと記録を残さないといけないということで、市長宛ての書類も作成しました。現地に着いて現場の方に伝えて、荷下ろしを完了しました。従業員を危険な場所に行かせるわけにはいきませんので、私と役員と2人で行きました。現地を目の当たりにした時は、本当に驚きました。「ここは日本なのか?」と思うほど、めちゃくちゃな状況でした。自衛隊もたくさんいて、全国から警察が集まっていて、殺伐とした雰囲気です。そこで私が感じたのは、「ああ、無力だな」ということでした。自分たちがやっていることも無力だなあ、と。段林: なるほど。野口社長: でも、それをやって帰ってきて、皆さんに報告して、写真も共有しました。アンカー社の本社にも行かせてもらって、代表取締役の方とお会いして、「助かりました、ありがとう」と。そして、「引き続き何かあったら、我が社に言っていただければ、こうしたこともできます」というやり取りをさせていただきました。そういう流れでした。段林: 僕自身も当時、六興実業を立ち上げて数ヶ月ではありましたが、災害のニュースを見ながら、「運送業をやっているのだから、ツテを辿ればもしかしたら何かできるかもしれない」と頭によぎったのですが、結局動けずに終わってしまいました。でも、「動く」ということと「思う」ことは、100対0ぐらいで違うと思います。民間企業で、市や県から要請を受けて動くところはあるかもしれませんが、実際に自発的に動いた会社は、ほとんどないんじゃないでしょうか。野口社長: そうですね。それをやったことによって、地域新聞にも載せていただいたり、春日部市の市長から感謝状をいただいたりしました。そういう物をもらうと、「あ、やってよかったな」と心から思います。困っている方々のために、できることをやる。そして、支援してくださった周りの方々にも感謝です。段林: 実は、そういう動きこそが、僕らがこのポッドキャストの取り組みをスタートした理由でもあるんです。最初は、第1回のゲストに来ていただいた、栃木県壬生町の「有限会社MIYABI」という会社の辻社長からの相談だったんです。「我々も運送業をやっていて、地域や社会への還元を考えていきたい。幸いにも栃木や壬生という土地は地盤も固く災害が少なく、災害の時に何かできるはずだ。首都圏も近いし物資も豊富にあるから、日本全国飛んでいけるはずなんだ。それをやりたいけれど、自分にはそれをPRする術がないし、どうしたらいいかわからない」というお話でした。野口社長: なるほど。段林: その話を聞いて、「なるほど」と。最初は小さな動きかもしれないけれど、同じ思いを持った同業の運送会社さんや色々な方が繋がっていけば、自ずとできるようになるんじゃないかと思ったんです。「ここでやってます」というPRをすること自体はできるかもしれませんが、それをSNSやったとして、あまり意味がないかもしれません。ですが、根っこにそういう思いがある会社さんを集めることはできるかもしれない。それが繋がれば、もしもの時に動けるかもしれない。野口社長: ええ、素晴らしいですね。段林: だから、「わかりました、僕がこういう企画をして集めてくるから頑張ります! 社長、最初に出てください」という話でスタートしたんです。野口社長: いいですね。段林: そんな中での今回の野口社長のお話だったので、もし何かがあった時に僕らも何かやらせていただける。野口社長は僕らがいなくてもそういう支援をやってこられた背景がありますが、そういう取り組みは僕らも活動していく中で、より輪を広げていって、全国にそういう仲間ができたらすごく心強いなと思います。もちろん本業は各社色々されていると思いますが、そういう時に役に立てるというのは、そこで働くドライバーさんの誇りになる面もあると思います。ぜひそういうこともやらせていただきたいなと思います。【 ★コラム】 被災地の命綱:Anker(アンカー)のポータブル電源 対談内で輸送品として挙げられたAnker(アンカー・ジャパン)の製品は、単なるモバイルバッテリーにとどまらず、災害時の「命綱」として極めて重要な役割を果たします。 同社が提供する大型のポータブル電源は、スマートフォンの充電だけでなく、冬場の被災地で必須となる電気毛布や暖房器具、さらには医療機器の稼働にも使用可能です。停電が長期化する中、情報を得るための通信手段と、命を守るための熱源を確保するこれらの物資は、被災者にとって文字通り「希望」を届ける支援となります。子供たちの笑顔が社員の「働く意味」になる段林: 他にも、最近オフィスの壁に感謝状が色々と見えたのですが、あれはどういった取り組みなのでしょうか。野口社長: 春日部市に児童養護施設がありまして、今2歳から18歳までの男女の子供たちが115人います。そこを知ったのは、実は義理の父親がきっかけなんです。義父は寿司屋をやっていて、35年前からずっと毎年、年に1回ボランティアでお寿司パーティーをやっていたんです。僕がそれを知ったのが8年ぐらい前で、「私たちも何かやりたい」と、毎月少額ですが寄付をしていました。段林: なるほど。野口社長: そしたら2年前、そこの事務局長の方から、「いつもありがとうございます。もしよろしかったら、子供たちの夏祭りがあるのでぜひ参加してください」と連絡をいただきました。参加してみたら、ボランティアの方々が何社かいて、出店を出して皆で盛り上げていたんです。それを見て、「これ、俺たちにもできるな」と思いました。段林: はい。野口社長: そこで、社内や付き合いのある団体に、「俺たちもやりたい。もし協力してくれるなら手を貸してほしい」と呼びかけました。そしたら社内の社員も10人ぐらい「やります」と言ってくれて、外部からも何社も、「実際足を運ぶことはできないけれど、お金は寄付するよ」「焼きそばの材料はうちで持つよ」と言ってくれました。「じゃあやろう!」ということで、事務長の方に説明すると「ぜひお願いします、何でもいいからお願いしたい」と言われました。焼きそばブース、かき氷ブース、フランクフルトブース、ポップコーンブース、あとは輪投げ、ピンボールなんかも用意しました。ある会社さんからレンタルして、点数がいいとお菓子をあげるみたいな。段林: へえ!野口社長: それをやったら、子供たちがすごく喜んでくれて。しまいには「おじさん、僕達も手伝うよ」と、一緒にかき氷を作ってくれたりして。すごくいい思い出ができました。事務局長からも話を聞いていたんですが、その時に僕が思ったのは、今は16歳からアルバイトができるし、18歳から社会に出ないといけない。でも、社会に出て就職しても長続きしない子が多く、メンタルがちょっと弱い部分もあるそうです。昔はそうじゃなく、やんちゃな子が多かったけど、今の子たちはそうじゃないと。段林: はい。野口社長: であれば、我々は30社ぐらいの地元の団体の会があるので、その30社でランダムでもいいし希望制でもいいから、アルバイト訓練みたいな形でやってみませんか?と提案したんです。「それはいいですね、ぜひやってください」ということで、そういう動きも前進し始めています。そういう活動を何十年もして、そこから雇用が生まれたら最高じゃん、と思っています。そこを目標として今はやっています。段林: すごいな。僕は「人にやさしく」というドラマが好きなんです。あのドラマに全く同じような一幕がありますよね。昔入っていた施設で夏祭りをやるという、すごく泣けるシーンがあるんですが、その情景と今重なりました。すごく浅い感想なんですが(笑)。話を戻すと、イベント系の仕事を始められたという話と今の話も繋がりがありますよね。野口社長: ありますね。段林: 社長が今までやってこられた、色々な団体活動の中での話とも繋がって、点と点が線になってきているようなお話だなと思いました。野口社長: 仕事でそういうことに携わるようになって、現場を見て「じゃあこれできるわ」という感じですね。段林: 素敵ですね。普通だったらとりあえず焼きそばブースを出すくらいだと思うんですけど、ピンボールまでやって5つも6つもブースを出すというのはすごいですね(笑)。1店舗出して、「焼きそばやってるよ」ぐらいは想像がつくんですが、想像を超えていてすごいですね。やるなら徹底的にやるというのが、素敵だなと思いました。野口社長: ありがとうございます。社名に込めた「Peace & Rich」の願い段林: では最後に、これまでのいろんな取り組みが少しずつ繋がってきているという中で、これからの未来の展望などがあればお伺いしたいです。先ほど終身雇用のお話しなどもありましたが、改めて最後にそういったところもお伺いしたいです。野口社長: やっぱり経営って、計画だったり目標だったりというのが必須で大事なものだと思いますが、それ以前に、組織や会社の中で、従業員一人ひとりが「夢」や「希望」もしっかりと持てるような環境でありたいですね。日々の仕事に追われて、ただ日々こなすだけというのは楽しくないだろうなと思います。だから、この会社の仲間全員が希望や夢を持って行動を起こせるような会社にしていきたい。じゃあその夢や希望って何?となるんですが、それは各々の小さい目標でもいいし、大きい夢でもいい、何でもいいと思うんです。それを持てるイコール、気持ちにゆとりが持てるということですから。段林: はい。野口社長: そういう会社に、まずは我々がしていかないといけないのかなと思っています。それと、やはり先ほど段林社長も言われましたが、「終身雇用」です。何かご縁があって出会い、仕事をしているわけですから、その縁を大切にしていきたいなと思います。そうすれば自ずと社内も社会も、みんな笑顔になるんじゃないかなと。うちの社名の「ピーアール(PR)」というのは、「Peace(平和)」で「Rich(豊か)」という意味を込めているんです。「Peace & Rich」で。段林: そうなんですね!最後に PRってどんな意味なんですかと聞こうと思っていたら、言ってくださいましたね。「Peace & Rich」なんですね。野口社長: 「平和で豊か」という意味です。段林: へえ。「豊か」っていいですよね。僕も「豊か」という言葉がすごく好きです。別にお金持ちになるということだけではなくて、希望を持って、今の自分よりももう少し良くなるとか、もう少し良い未来が描けるとか、自分の時間を大事にできるとか、自分の好きな人や大切な人を大切にできるとか。そういうのが「豊か」だと思っていて、すごく好きな言葉です。野口社長: ありがとうございます。段林: 全4回にわたって色々とお話を伺えて、すごく勉強になりました。やっぱりこういう仲間が全国に増えていき、運送業界だけでなく日本の社会が豊かになる、そんなご縁が広がっていけばなと僕も思いました。これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。野口社長: ありがとうございました。いかがでしたでしょうか。 「無力だ」と感じながらも現地へトラックを走らせた能登での行動、そして子供たちの笑顔のために「やるなら徹底的に」と全力を注ぐ春日部での活動。野口社長の行動力の根底には、常に「誰かのために」という温かい想いがありました。そしてそれが、巡り巡って社員たちの誇りや、会社の「豊かさ」に繋がっていく。まさに「Peace & Rich」を体現されているお話でした。次回もまた、社会インフラを支える熱いゲストをお迎えしてお届けします。お楽しみに!▼前回のエピソードはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/EIopUyNf▼六興ラジオ【社会インフラの横丁から】シリーズはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/category/rokko-radio▼六興実業公式LINEはコチラ👇https://lin.ee/CBj09Eq