始まりました。社会インフラの横丁から。この番組は、社会の当たり前を支えてくれている人たちの声を、人情味あふれる六興村の隅っこにあるこの横丁からお届けするラジオです。本日も温かいお話や苦労したお話、心に染み渡るお話、そしてこれからの未来につながるお話をお届けしてまいります。今回のゲストも、前回に引き続き、株式会社川北エクスプレスの川北社長です。 全5回にわたる対談の最終回となる今回は、業界内でも異色の存在感を放つ同社の「メディア戦略」と、その裏にある「業界を変えたい」という切実な想いに迫ります。これから未来につながるお話をお届けしてまいります。%3Ciframe%20data-testid%3D%22embed-iframe%22%20style%3D%22border-radius%3A12px%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fopen.spotify.com%2Fembed%2Fepisode%2F4hgL8wZKh07pVeJAZFIITs%3Futm_source%3Dgenerator%22%20width%3D%22100%25%22%20height%3D%22352%22%20frameBorder%3D%220%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20allow%3D%22autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20fullscreen%3B%20picture-in-picture%22%20loading%3D%22lazy%22%3E%3C%2Fiframe%3E%0Aネガティブな「助けて」では、若者は憧れない段林: では、今回が最終回です。今までは過去のお話をお伺いしてきましたが、ここからは未来につながるお話や現在に至るお話もお伺いできればなと思います。川北社長: はい、お願いします。段林: ちなみに、川北エクスプレスさんは運送業界でいうとかなり知名度が高いと思うんですけど。そのあたり、露出されていこうとしたきっかけや狙いがあったんですか?川北社長: 元々組合作ったりしたあとから、SNSも始めました。その時は、どちらかというと運送会社の経営者を狙って繋がって、そこで業界的にいろんな繋がりができました。段林: はい。川北社長: 業界紙は割と取材に来てくれるじゃないですか。だから業界内はそれでいいです。ただ、やっぱりこの業界で働いてくれる、この業界に憧れる若い人たち人たちを増やしたいんですね。 そうすると、一般の人に「運送会社ってこんな会社あるよ」「運送業界ってこういう業界だよ」とトラック協会や業界団体が発信するのは、ネガティブなものが多いんですよね。段林: そうですね。川北社長: 前回、「応援される」という話がありましたが、僕は応援されるような業界にすればいいのにと思うんです。「燃料高騰して大変なんで助けてください」「ドライバー不足で大変なんで助けてください」なんて、そこに憧れを感じるわけがないじゃないですか。ましてや2024年問題で求人が減ってると思うんです。段林: はいはい。川北社長:既存のドライバーじゃない、 異業種からの求人は減っていると僕は思っています。なぜかというと、ネガティブな放送しかしてないからです。「労働時間長いよ、大変だよ、給料安いよ」みたいなことにスポットを当てて「これを改善しましょう」みたいな。だから減っている。段林: うん。川北社長: だからこそ、プラスのいいものを発信したいなというところから、去年はプレスリリースもいろいろ出して、メディア露出もしてという狙いがあるんですよね。だからこの業界のことをもっと一般の人に知ってほしいし、いいイメージを作ってほしい。仮にうちの会社内を良くしても、業界のイメージが悪かったらやっぱり人は来ないんですよね。段林: そうですね。川北社長: だから、そっちに力入れています。ちょうどタイミング的に2024年問題でドライバー不足が報道されたこともきっかけに、注目を浴びていた時なんですが、メディアがメディアを呼んで、いろんなメディアさんに取材に来ていただいたということなんです。「運転さえできればいい」ではない、プロの奥深さ段林: ドライバーさんが憧れられるというところで、御社のSNSを見ていると、女性だけの特別の福利厚生もありますよね。川北社長: コスメですよね。段林: はい。ああいうのも女性のドライバーさんもこちらを向いてくれるみたいなところもあるんですかね。女性の事務員さんはいらっしゃいますが、女性ドライバーさんはいらっしゃるんですか?川北社長: 現場も含めて3人います。段林: そうなんですね。やっぱり運送業界の女性比率ってなかなか……。川北社長: もっと上げたいですよね。20代mp男性でも経験者は入りやすいけど、ここに女性も入ってほしいなと思っています。 今回あったのが、高校を卒業して工場で5年間勤めてた社員がいました。段林: はい。川北社長: で、うちに入ってみたら、やっぱり大変で辞めますということがあったんです。ゴールデンウィーク明けに暑い日が続いたじゃないですか。段林: あー、はいはい。川北社長: 空調の中で仕事してきた人にとっては、暑い日もクーラー効いてる、寒い日はヒーターがかかっている。でも、我々の仕事は、炎天下の中荷物の積み下ろしもあるし、運転していればいいわけじゃなく、肉体労働や作業的なものも多いですよね。段林: 思ってる以上に肉体労働ですよね。川北社長: だから、その辺のイメージがまだ一般的されていないのかなと思います。だからうちのホームページもYouTubeも見ましたという人が、面接すると「本当に夜帰れるんですね」みたいな質問をされます。段林: うん。川北社長: まだそんなこと言ってくる人もいるし、そこのイメージはやっぱり変えていかないといけないなというのをすごく思いますよね。段林: そうですよね。僕も運送業界に入って、今はだいぶ減りましたけど、手積み手下ろしだとか、10トン分荷物を下ろすなど、そういうのもあるんだなと正直驚きました。僕が関わっている平ボディやユニックだと、シート掛けなど、めちゃめちゃ大変じゃないですか。川北社長: うん。段林: でもそういうところも含めて、プロドライバーなのかなと思っています。そういうところもわかってくると、ドライバーという仕事がどういうものかというのがわかってくるのかなと思います。川北社長: 本当ですね。だからうちは未経験ばかりで、製造業でリーダーをやっていた子もいて、入って半年ぐらいしてからインタビューで、「この仕事はどう?」と聞いてみたら、「覚えることがたくさんで、結構大変ですよね」と。「先輩みたいになろうと思ってもまだまだですよね」という話をしました。段林: はい。川北社長: 「入る前は、もっと簡単にできるかと思っていました」と。 「じゃあ簡単にできたら面白かった?」と聞いたら、「いや、それやったら多分飽きてますよね」と。段林: そうですよね。川北社長: やればやるほど奥深いところがあるからこの仕事って面白いし、ただ運転してるだけではないんです。例えば運転においても、いろんな人が走ってる公共の道を通ってるわけじゃないですか。それで事故なく、荷物も時間通りに届けようと思うと、それだけでも精神的なプレッシャーはあるんですよね。段林: そうですよね。川北社長: そういうこともひっくるめて、一般の人にも理解してほしいですよね。誰でもできる仕事だと思われがちですが、決してそうではないんです。段林: そうですよね。あれだけの荷物とあれだけの車を、毎日しっかり運ぶというのはすごいと思います。【★コラム】「シート掛け」は重労働? プロの技と過酷さ段林が「めちゃめちゃ大変」と共感した、平ボディ車やユニック車での作業。これは、箱型のトラック(バン)とは異なる、オープンな荷台を持つトラック特有の苦労を指しています。・平ボディ: 荷室の箱がなく、平らな荷台だけのトラック・ユニック: 荷台にクレーンがついているトラック(※「ユニック」は古河ユニックの登録商標ですが、現場では通称として使われます)。これらのトラックは、様々な形状の荷物を積める反面、雨や汚れから荷物を守るために「シート掛け」という作業が必須になります。 巨大で分厚い防水シートは非常に重く、それを数メートルの高さまで積み上がった荷物の上に被せ、強風でも飛ばないようにゴムバンドやロープで強固に固定する作業は、まさに全身を使う重労働。真夏の炎天下でのシート掛けは、想像を絶する体力勝負となります。 川北社長が語る「ただ運転しているだけではない、プロの肉体労働」という言葉には、こうした現場の厳しい現実が含まれているのです。「定時退社・週休二日・高賞与」を実現するプロ集団へ段林: 御社としては、業界外の人を集めて、女性も含めて入っていただける。だからドライバー数を純増させているというところがあると思うんですが、会社としては、こんなふうになっていけたらなと、業績規模だけじゃなくて働き方含めて、ここから掲げてらっしゃる理想像はあるんでしょうか? 川北社長: よく社員に言うのは、基本的に定時で帰れる。で、土日休みの週休二日。で、賞与が年間5ヶ月か6ヶ月分ぐらい出るような、そんな会社にしたいと言っています。段林: いやあ、めちゃめちゃいいですね。川北社長: そんな会社にするためには、効率も考えないといけないし、ドライバーからお客さんに提案もしないといけない。しょうもないミスをしているようでは、「所詮運転手やね」と言われるわけじゃないですか。段林: うん。川北社長: だからそのレベルを上げてかないといけないので、うちは評価制度があったり、そんな話もしたりはします。でもなかなか、周りがそのレベルではないので、そこについていけない子たちは辞めたりしてるんですよね。でも仕事って、別に銀行員であろうが工場の現場の人であろうが一緒だと思うんですよね。そのお客さんに喜んでもらうために、何かをする。段林: そうですね。川北社長: 理念経営ってあるじゃないですか。うちはそのつもりでやっていますが、まだこの業界で理念経営はものすごくハードルが高いんですよね。当然体力も使うけど単純に肉体労働ではなく、そういう思いや考え方もしっかりしている人たちがドライバーでいっぱい集まる。段林: うん。川北社長: で、規模的にはそういう人が揃った100人、100台ぐらいある会社にしたいなというのが、ずっと目標ですね。規模を大きくすればいいとは思っていません。でも、規模も大きくならないと社会的に認められません。 ただなかなか、そこに共感して働いてくれる人たちは、まだまだそんなに多くはない。でもこの母数を増やしたいなというのはありますよね。段林: その種を作るというのは大変ですね。外向きの発信は、自分たちへの「健全なプレッシャー」川北社長: だからSNSもそうですが、メディアにも出ます。ただ、露出すればするほど、やっぱり会社としてのあり方は問われます。社員の満足度も問われるし、より磨いていかねいといけないなというのは最近思いますね。段林: そうですね。露出して宣言したからには、社長もやりきらないといけない。川北社長: そうなんです。段林: いろんな見られ方も出てきますし、外でいいことを言うんであれば中で余計に実践していかないといけませんよね。川北社長: だからそれをプラスのプレッシャーにしています。前回「ここを建てて大変なことがあった」と話しましたけど、その時に僕のやる気が失われなかったのは、例えば投資をして3年後ぐらいに潰れる会社に、こんなものは授からないと思ったんです。段林: そうですね。川北社長: それと同じで、今年になって大量に社員が辞めたんですが、例えばここで挫折したり諦めたりするような会社ならそもそも、メディアでも取り上げられていません。取り上げられたということは、いい方向に行く会社だと思ってやりきるしかないなと思っているんです。段林: そうですね。だから今年に入ってから何名か辞められたというのは、なかなかきついところですが、残っていく方々、あるいはそこにさらに入ってくる方はより強固なメンバーですよね。川北社長: そうですね。だから、今残ってるメンバーは本当に自慢できるメンバーばかりだし、なかなかそういう人たちと出会えない会社も多いじゃないですか。段林: はい、そうですね。川北社長:やっぱり物流は人の営みがある限り必要なもので、その根幹を担ってるのはトラックです。 だからここから先、理念に共感してくれて、そこで世の中のために頑張ろうと思える人たちが増えてくれるといいなと思いますけどね。段林: そうですね。僕もこの間メンバーと話したんですが、小さい頃ってみんなトラックや救急車や消防車がかっこいいとトミカで遊んだりしますよね。ですが大人になると、そういった憧れを忘れ去ってネガティブなイメージだけが残っていってしまう。でも本来は、さっき仰った様に、日本の「運ぶ」がなくなれば、愛知県は車も作れませんし、何も生活が成り立たなくなります。実際この仕事は誰でもできるわけではなく、覚えることも多いし運転技術も必要です。そこの正しい価値をしっかり世の中に広めていきたいですね。逆にその分、会社としてはしっかり利益を出して、その価値の分ドライバーさんにはお給料で還元して、週休二日で5ヶ月分ボーナスが出るとなれば、運送業界の中だけでなく、全産業と比較してもいいよね、と言われるようになっていかないといけませんね。川北社長: 運送業だけでなく、建築業も農業も、ブルーカラーと呼ばれる人たちはなんとなく下に見られていますが、これからホワイトカラーなんてAIに取って代わられるので、最後は人が動く。ただし昔みたいに労働だけではだめです。労働と、考える力、気遣いの心が一体になれば、これほど強い仕事はないと思うんです。段林: そうですね。川北社長: だからそっちにスポットを当てて、どの現場も、現場が一番収入が高い、そんな世の中にしたいと思いますね。段林: 僕もそんな未来が来ると信じて、この業界にどっぷり浸かり始めました。川北社長: 僕も信じています。段林: 僕はまだ32歳で先は長いので、川北社長の思いを引き継げるように頑張ります。川北社長もまだあと20年以上は余裕でいけると思いますが。川北社長: 死ぬまでやります。段林: 一緒にその辺を作っていって、この業界の明るい希望を作っていければなと思いますね。川北社長: はい。業界だけじゃなく、日本を良くする、日本から世界を良くするぐらいの気持ちで行きたいなと思います。すべての出来事は「必要必然ベスト」段林: 全5回にわたっていろいろとお話いただきました。いろいろとお話を伺う中で、苦しいお話や、そこに至った考えもお伺いできて、すごくいい時間を過ごせました。僕自身も経営者として、すごく学びになる時間だったなと思いますが、一番心に残ったのは、「共感」を作っていくというところと、ドライバーさんを憧れられる職業にしていきたいという決意でした。それがすべて、創業の時からストーリーとして繋がっているなと感じました。 全てはあれですね、何でしたっけ?川北社長: 必要、必然、ベスト。段林: 必要、必然、ベストですね。 本当にそうだなと思いました。今回収録させていただいてこうしてお話させていただいたことも、いつか巡り巡って、「あの時が必要、必然、ベストだったね」となれるように、我々も頑張っていきたいですし、お互い良い相乗効果を業界に生み出していければなと思います。これからもよろしくお願いいたします。川北社長:よろしくお願いします。段林: ありがとうございました。川北社長: ありがとうございました。▼前回のエピソードはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/LC40i8pG▼六興ラジオ【社会インフラの横丁から】シリーズはコチラ👇https://www.rokko-jitsugyo.co.jp/news/category/rokko-radio▼六興実業公式LINEはコチラ👇https://lin.ee/CBj09Eq