こんにちは。六興実業の代表の段林です。先月の冒頭で、第三子が生まれたということを書きました。最近は、上の2人(2歳と、もうすぐ4歳)の寝かしつけをしてたら、夜21時前には一緒に眠りについてしまいます。そして、朝4時に起きて、これを書いております。早寝早起きループに入ってしまいました。ところで、前回も、前々回も、早朝にこの記事を書いてますね。早起きは三文の徳。さて、それでは、8月の振り返りに入っていきましょう!今月も適正原価について書こうと思います8月26日に、適正原価に関する第2回有識者検討会がありました。運送会社経営に関わる身としては、このルールチェンジは大きな転換点になると思っておりますので、今回もしっかりと読み込ませていただきました。▼国土交通省HP:第2回適正原価の設定に向けた有識者検討会https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000022.htmlそんな中、8月27日発行の物流ウィークリーさんの記事に、こんな気になる見出しのものがありました。「適正原価」制度設計に異論「あり」 一運行の運賃無視、既成事実化進む本文を少し引用させていただくと、こう続きます。「2年弱の間にトラック運送取引に導入される「適正原価」制度は、運賃に下限を定めるとともに強制力を伴った制度だと、いまのところは解釈されている。ただ、トラック運賃を「1回ごとの運送業務の対価」と捉える通常の解釈とは異なり、国交省が考える適正原価の制度設計は1回ごとの運賃について、「下限」も「強制力」も伴わせないものだ。」▼物流ウィークリーWEB記事https://weekly-net.co.jp/news/200391/つまり、これはどういうことなのでしょうか。国土交通省のHPに載っている「適正原価の設定に向けた個別論点の検討①」というパワーポイント資料を見てみると、このようなページがありました。※国土交通省:「適正原価の設定に向けた個別論点の検討①」より色々と書いてありますが、ポイントを引用すると、この部分が重要です。「トラック事業者は、一定期間における運賃・料金が適正原価を下回らないこととすればよく、これらを踏まえると、基本的には、適正原価の水準は直接的に個別の運送契約の運賃・料金水準を規定するものではない。」つまり、こういうことです。「適正原価制度は、最低運賃的なものを決める制度ではないよ。」「適正原価」ができるのでもう安泰だ、と思っていた運送会社経営者も、もしかするといるかもしれませんが、どうやら手放しにそういうわけではないようです。もちろん、その後のパワポを読み進めると、「輸送の安全確保のために必要な経費」や「事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資」を適正原価の原価項目に含めるべく、それがどういった範囲のものになるかなど、詳細を検討してくださっているので、「運送会社、そしてそこで働く方々がより安全に、安定して、事業を続けていくために」本気で国が考えてくださっている制度なのだと思います。なので、間違いなく一歩、いや、二歩と、この運送業界が前進をする、とってもいい制度なのだと思いますが、手放しにそこにタダ乗りできるような制度ではなさそうです。運送会社側は、しっかりと「適正原価に備える」ことが重要になってきます。個人的に思う適正原価に備えて必要なこと5つまず、結論から書きます。おそらくこれからの実運送会社にとっては、以下の5つが大事になってくるのではないでしょうか。①まずは、自社の車両別原価をしっかりと集計する→1kmあたり変動費と1時間あたり固定費の把握のために必要②車両ごと・案件ごとの稼働時間や走行距離を把握する→1時間あたり固定費・1kmあたり変動費をもとに運賃計算するために必要③1kmあたり変動費や1日あたり固定費(1時間あたり固定費)に関して、自社の車両別(車種別・荷主別)の「実原価」を把握し、そして「理想原価」を設定し「適正原価」が公表された時に、それらと「運賃」の位置関係がわかるようにする④自社で「実車率」を高める工夫をする⑤「実車率」を高められない場合は、その案件の原価として含めるべき時間と距離(往復・回送など)の交渉をしっかりとできるようにする①と②については、先月のこの記事の中にも書きました。▼トラック運送会社の経営、はじめてみた。~第10回【2026年7月】https://note.com/rokkojitsugyo_65/n/n8900e190dfd1?magazine_key=m968b65594bbc今月は、この中の③について、書いてみようと思います。※注意:前段の章で「適正原価は個別の運送契約の運賃・料金水準を規定するものではない」という解説をしているにもかかわらず、以下は、あえて「個別の運送契約に適正原価を当てはめて」考えています。そもそも「実原価」とか「理想原価」って、なんやねん。っていうツッコミが入るかもしれませんね。スミマセン。六興実業のオリジナルワードです。笑詳しくは、この2月の記事を読んでください。▼トラック運送会社の経営、はじめてみた。~第5回【2026年2月】https://note.com/rokkojitsugyo_65/n/n33777237568e?magazine_key=m968b65594bbcところで、話がめっちゃ横道にそれてしまいますが、この2月の記事の中で、運賃交渉のお打ち合わせをさせていただいたと書いてある荷主さんですが、ちょうど先日、運賃を引き上げていただくことができました。本当にありがとうございます。しっかりと根拠を示して、お互い様で、フェアに納得できる部分を擦り合わせることができたと思います。こうして運賃の引き上げでギブしていただくばかりでなく、こちらも増車や効率化、繁忙期の応援体制などで、お返しできるように頑張っていかなければならないと思いました。話を元に戻します。記事を読むのが面倒な人のために「理想原価」について解説した、僕がたまにセミナーで使っている資料を一応貼っておきます。※六興実業のセミナー資料よりさて、それでは、③1kmあたり変動費や1日あたり固定費(1時間あたり固定費)に関して、自社の車両別(車種別・荷主別)の「実原価」を把握し、そして「理想原価」を設定し「適正原価」が公表された時に、それらと「運賃」の位置関係がわかるようにするとは、一体どういうことなのか。図で書くと、この意味がわかりやすいと思いますので、ちょっと何パターンか図解してみました。(この図解以外にも、いろんなパターンがあると思いますが、全部個別に解説するのも面倒なので、割愛します。)つまりこういうことです。まず、一番左のパターン。これは、現状の運賃は、「実原価」を上回って、黒字案件ということです。ただし、理想原価には届いていないので、車の買い替えや人件費アップなど、しっかりと安定して経営していくには十分ではない運賃ということです。そこに、適正原価という新たなものさしが加わると、運賃が「実原価」を超えていて、黒字案件だけど「適正原価」は下回っているので、その「適正原価」以上に引き上げていかねばならない、ということになります。例えば、車の減価償却が終わっていて0円だからこそ成立している案件では、こういうケースもあると思います。このケースは、運送会社にとってはありがたいケースです。「適正原価」水準まで運賃が引き上がると、車両の入れ替えをしないままだと単純に利益は増えますし、そうすることで、車両の買い替え余力が生まれます。制度のおかげで「理想原価」に近づくということです。次に、真ん中のパターン。これはまず、現状の運賃が「実原価」を下回っていて赤字案件ということです。それでいて、尚かつ、「適正原価」がさらにそれより低い水準に設定されてしまったというパターンです。これは「適正原価」はクリアしている運賃だから法的には問題ないけれども、自社の原価に照らし合わせると赤字案件だから、少なくとも「実原価」の水準に運賃を引き上げていかねばならない、ということになります。そんなケースあるの?と思うかもしれませんが、例えば、鋼材車で架装をしっかりしていて、車両費用が「適正原価」よりも高い場合や、手積み手卸しなど仕事が大変で、その分、給与水準が「適正原価」よりも高くなっているケースなど、考えられうるケースは意外とあります。このケースでは、運送会社はしっかりと「自社の原価(実原価)」を示して、それが「適正原価」よりも高くなる理由を説明して、運賃交渉に臨まねばなりません。今後は「適正原価はこの水準だから、この運賃でできるよね」と荷主さんから言われるケースも、少なからず生じる可能性があります。そうなったときに、「自社の原価(実原価)」をしっかりと説明できる準備をしていないと、痛い目を見る可能性があるということです。最後に、一番右のパターン。これは、現状の運賃が「理想原価」以上にいただけていて、車両の入れ替えや、賃上げ、修理代の高騰などを想定しても、しっかりと安定して経営をしていける、ありがたい案件ということです。このケースに、「適正原価」というものさしが加わると、こんなリスクがあります。上の真ん中のパターンでも解説しましたが、荷主さんから「適正原価っていうのがありますが、それに合わせた水準だと、この運賃でできるはずなんですけど、ちょっと値下げしてもらってもいいですか?」という話を持ちかけられる可能性があるわけです。真ん中のパターンは「実原価割れの赤字案件」なので、根拠で示して納得してもらうということができますが(でなければ、仕事が継続できない)、このパターンは「理想原価以上の美味しい案件」なので、その運賃を維持するには、ある意味「選ばれる運送会社」でなければならないんだと思います。「ちょっと高いけど、この会社が安定して、トラックを綺麗に維持して、いいドライバーさんを確保して、ウチの仕事を継続してくれていることがありがたい」と荷主さんに認めていただくことで、「適正原価」以上の付加価値を認めてもらえるということになるのでしょう。とまあ、このような形で、「実原価」「理想原価」と「運賃」、そして「適正原価」を並べることで、このような分析ができるようになります。上の3パターンを見ただけでもわかるように、各個別の案件によって、置かれている状況、そして取るべき対策は変わってきます。備えあれば憂なし!まずは、自社の「実原価」を把握し、そして「理想原価」を把握する。今の段階から、できる準備をやっておきましょう!!適正原価について2万字書きました!実は僕、「トラック経営の見える化 未完の解説」と題して、ずっと書き溜めている文章があります。これまでに約6万字書いておりました。そしてこの度、新たに適正原価編として2万字を加筆しました。このレポートの中では、以下の④⑤に関しての解説も書いています。④自社で「実車率」を高める工夫をする⑤「実車率」を高められない場合は、その案件の原価として含めるべき時間と距離(往復・回送など)の交渉をしっかりとできるようにするもしよかったら、以下のニュースリリース内に「ダウンロード」ボタンがあるので、ポチッと押して、読んでみてください。▼【六興実業】無料公開中の「トラック経営の見える化」レポートに新章『適正原価編』を追加、全8万字に拡充https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000151945.htmlそれでは、また来月!!!▼六興実業のサービスの詳細が知りたい方はこちらからhttps://www.rokko-jitsugyo.co.jp/service▼メディア・取材の申し込みはこちらからhttps://www.rokko-jitsugyo.co.jp/contact▼六興実業公式LINEはこちらhttps://lin.ee/CBj09Eq